オーナーの人柄を表すエネルギッシュな家
こんなにも、家は人を表すのか。そんな驚きを覚えるほど、開放的でエネルギーに満ちあふれた明るい家は、オーナーである髙橋加楠子さんの人柄そのもののように感じた。15年近くに渡り、オーストラリアで暮らしていた加楠子さんは、20代後半の時、本能的に「故郷に戻りたい」と感じて日本に帰ってきた。改めて日本の良さを感じる一方、2人の子どもたちと暮らすアパートはとても窮屈だった。オーストラリアのホームステイ先には、カンガルーがいるほど広大な自然の庭があったし、もともと住んでいた実家も庭が広かった。だからこそ家を建てるなら、「思い切り体を動かせるような環境で子どもたちにも過ごして欲しいと思った」と話す。ご自身がそう過ごしてきたように。
アイジースタイルハウスを知ったきっかけはEMOTOP（エモトープ）だった。実際に訪れると、空気がきれいで、いい家だと直感的に感じた。決め手は営業のフォロー。「性能や設備などいくら紹介されても素人だからよく分からなくて。一人でいろんな判断をしなきゃいけない中で、不安な想いに寄り添ってくれた。家のデザインや素材が好きなことに加えて、この営業さんなら大丈夫だと思えました」と加楠子さん。自身の感覚を信じて、その想いのままに家を建てた。
明るい空間が、気持ちも明るくする
加楠子さんの一番のこだわりは「開放感」。リビングの広さと明るさ、窓の大きさだけでなく、玄関とリビングの間に通常ならあるはずの壁を取り払い、玄関、リビング、そして庭までが一気につながる開放的な空間に仕上げた。実際に玄関の扉を開けると、リビングと一緒に窓の奥にある庭の緑が目に飛び込んでくる。大きな窓から光が差し込むリビングには、心地いい明るさが保たれている。
「明るい空間に身を置くことで、気持ちも明るくなれるみたいなことがすごく大切だと思っていて。緑が見えるのも良くて、そういう開けた空間であることは譲れませんでした」と加楠子さんは嬉しそうに話す。
広い庭があるおかげで、子どもたちがいつでも遊べる。騒いでいても、気にしなくていい。大好きな犬も飼うことができたし、庭をドッグランのように使える。家を建ててよかった、そう思える瞬間に溢れる家が生まれた。
加楠子さんのお気に入りの場所は、リビングと庭をつなぐウッドデッキだ。朝は椅子に腰掛けてコーヒーを飲み、夜は星空の下で本を読む。その傍らでは、家の中と庭を自由に行き来する賑やかな気配が絶えない。子どもが投げたボールを追いかけて、愛犬がウッドデッキを駆け抜ける。その後を笑い声と足音が追いかける。取材中も、中と外の境界は曖昧なまま、楽しげな往来が続いていた。
家に帰ってくるのが、森に帰ってきた感覚
加楠子さんはシドニー郊外にあるブルーマウンテンズで暮らしていた頃、よく「ブッシュウォーキング」に出かけていた。「ブッシュウォーキング」とは、オーストラリアの代表的なアクティビティで、一般的には山や森などのオフロードを歩くハイキングのこと。自然の中にいると心が落ち着いたり、落ち込んでいる時は気持ちを充電できたりと、自然がもたらすエネルギーを当時から感じていたそう。
「この家は床や天井、ドアにもヒノキを使用していて、森林の中にいるように空気がおいしかったり、ヒノキの香りに癒されたり。家に帰ってくるのが森に帰ってきたような感じというか」と加楠子さん。自然の素材を使っているからこそ、自然とつながっている感覚があり、それが心の安らぎにもつながっていると感じるのだという。すぐ身近に自然があったブルーマウンテンズと環境は違うけれど、家にいながら自然を感じられる場所になっていることが、日々をゆとりあるものにしているようだ。
必要なものは生きていく段階で変わっていく
家の中で、外の庭で、キリアン君とカイル君が楽しそうに遊んでいる。その二人に加わるかのように、愛犬のライスが走り回っている。思いのままに過ごす光景に、人が暮らす場所の大切さを感じさせられる。どれだけ「自由」を言葉で説明しても、その環境に身を置くことより饒舌で分かりやすいものはない。それは、オーストラリアの大自然に抱かれて暮らしてきた加楠子さんだからこそ、身体的に理解している感覚なのかもしれない。そう考えると、子どもたちにもその環境を与えたいと思うのも納得がいく。
「家を建てたからといって、ずっと住み続けることはないし、自分に必要なものとか環境は生きていく段階で変わっていくから。一つに絞らずにそのときしたいことをすればいいかなって思ってますし、それを子どもにも伝えています」と加楠子さん。そんな意志のある言葉から、自由とは縛られないことなのだと感じさせられる。自然とつながる住まいで、ありのままに暮らすことがいかに幸福なことか。それを証明するかのように、この家には自由の空気が満ちている。
